この研究会について

平成30~令和2年度砂防学会公募研究会

  • 研究会名: 土砂災害に備える地区防災計画研究会
    (研究テーマ:土砂災害に備える地区防災計画のあり方・策定方法・内容・活用の実践的研究)
  • 研究代表者:田中隆文(名古屋大学)
  • 共同研究者
    石垣 勝之 (玉野総合コンサルタント(株 ))
    磯打 千雅子 (香川大学創造工学部)
    井良沢 道也 (岩手大学農学部)
    小穴 久仁 ( NPO法 人 ド ゥ チ ュ ウ ブ , (株 )エーアイシステムサービス)
    大村 さつき (応用地質株式会社)
    蟹井 進 (玉野総合コンサルタント(株 ))
    酒井 千富 (株式会社 測 設 )
    霜田 宜久 (福島工業高等専門学校,元東京都都市整備局)
    鈴木 清敬 ( (株 )パ ス コ , 名 古 屋 大 学 社 会 人 大 学 院 生 )
    中村 清美 (国土防災技術(株 )技術本部)
    町田 尚久 (埼玉県,名古屋大学客員研究員)
  • お問合せ: jimukyokuなるとsabo-cdmp.jpn.org
  • 研究期間: 平成30~令和2年度
  • 研究会の意義と目的
     土砂災害防止法が施行され、計画区域や特別警戒区域の指定が推進されているが、同法第8条が市町村に求めている警戒避難体制の確保については、まだ実効性のある措置を講じていない市町村も少なくない。またせっかく防災計画を構築しても役員の交代や次世代への継承など,いつ起こるともはっきりしない長期にわたって実効性を維持していけるかどうかという点については未知数といえよう。
     本研究では災害対策基本法に定められた地区防災計画制度を活用し,砂防避難などの防災計画の長期にわたる実効性を担保していこうとするものである。合わせて地区防災計画制度がめざす住民主体のボトムアップによる防災計画の構築を実現し,長期にわたってその実効性を維持していく仕組みを検討し提示する。
    地区防災計画制度は,市町村の地域防災計画とは異なる空間スケールの地域割りの防災計画であることと,ボトムアップ的な策定手法が期待されている防災計画であることに特徴がある。市町村域に対応する“地域”という大きさのレベルでは見過ごしがちな“地区”というレベルの特徴や災害脆弱性を反映させることができ,また行政組織からのトップダウンを前提としたシステムでは気づかず拾えないローカルノレッジに基づく経験や知恵を活用することが可能となる。
    地区の大きさはマンション1棟でもよいし、市町村界や県境を越えても構わない。このことは土砂災害の発生域の特徴に柔軟に対応できることを意味する。本制度が従来の自主防災会の防災計画などと大きく異なる点は、災害対策基本法に規定された制度であり,策定後は廃止手続きをするまでその法的効力を有する点にある。
    土砂災害の発生は、地形・地質・土地利用履歴などの局地的な地勢条件の影響が大きく、地区としての危機感を共有しづらい。土砂災害は、再起期間が長いため、世代を超えた息の長い対応が必要である。また斜面と居住空間の位置関係などの社会学的な影響も大きく、個々の現場ごとのきめ細かな警戒避難体制の構築が必要である。
    そこで、地区防災計画制度の砂防での活用に向けた取り組みが必要であるが,単に同制度の砂防分野への普及を図るのではなく,土砂災害特有の特徴や事情を踏まえ,砂防に適した防災計画のあり方を,同制度を参考として新たに提案するという意気込みで臨みたい。これが本研究会の目的であり,ミッションである。

平成30年度砂防学会研究会の助成について第2期研究開発部会